プロフィール | |
所長: | 川崎外茂行 |
所在地: | 東京都品川区 |
個人、法人、外資系法人を問わず、親切丁寧をモットーに社会保険・労務人事についてお手伝いをさせていただきます | |
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本を執筆いたしました
(他共著者10名)
「税務・経理・
人事ハンドブック
2011年度版」
DHB制作委員会著
発行所 C&R研究所
[2011年度版]
[2010年度版]
[2009年度版]
現在の厳しい経済情勢の下で、企業を巡る環境も厳しさを増している状況にあり、やむなく労働条件の引下げや希望退職者の募集、解雇など雇用調整を行わざるを得ないとする企業も見うけられます。その際のポイントをお知らせします。
A:1.労働者派遣契約と労働契約は別ものです。派遣労働者と派遣会社との間には労働契約、
派遣会社と派遣先には労働者派遣契約が締結されています。
2.派遣先がやむを得ず派遣契約を中途解除する場合は、厚生労働省から
出されている指針に基づき適切に対応することが必要となります。
「派遣先の講ずべき措置に関する指針」
(1)派遣契約の解除の事前の申入れ
派遣会社の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間を
もって派遣会社に解除の申入れを行うことが必要です。
(2)派遣先における就業機会の確保
派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣労働者の
新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
(3)損害賠償等に係る適切な処置
(2)が困難な時は、中途解除を行おうとする日の少なくとも30日前に
派遣会社に予告することが必要です。
3.派遣契約の中途解除「いわゆる派遣切り」は派遣元への事前通知等の
対応が必要で、「解雇」は派遣会社と派遣労働者間の契約の解除を意味
し、労働契約法で「やむを得ない事由」、労働基準法で「少なくとも30日
前までの予告」が必要となります。
A:1.業績悪化等を理由に契約をこれまで何度も更新してきて突然期間満了で
労働契約を終了するには難しいものと言えます。
2.短期の労働契約の更新を繰り返し行うと、形式的には期間が定められた
労働契約であっても実質的には期間の定めのない契約と解釈されてしま
います。社員からみて「雇い続けられるだろう」と期待するに足りる十分な
事情がある場合、会社としては所定の期間が終了したという理由だけで契
約を終了させることは困難です。
3.正社員に準じた解雇予告またはこれに代わる解雇予告手当の支払が必
要となってきます。
3.こうしたトラブルを防ぐには、契約期間の終了直前でなく、更新するときに
「次回は更新しない」旨を明らかにしなければなりません。
4.雇止めの予告
有期労働契約が3回以上更新されているか、契約が通算1年を超える場合
で更新しない場合には少なくとも期間満了の30日前までにその予告をしな
ければなりません。
A:1.内定の法的性格は、条件付き労働契約の成立とされ、その取消しには制
限があります。
2.判例は「採用内定通知により、就労の開始を学校卒業後とし誓約書記載
の事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したもの」とし、その取
消しには制限があり、取消し事由に該当してもすべてが認められることに
はなりません。
3.内定取消しが正当と認められる事由としては、
(1)学校を卒業できなかった。必要な資格が取得できなかった。
(2)心身の病気その他の理由により勤務できない。
(3)履歴書や面接時の発言に虚偽があり、それを知らずに内定を出した
が、内容が採否判定の重要な要素である場合。
などです。
経営悪化を事由とする取消しは、それを予期しなかった会社にも責任が
あるとされ一律には認められていません。判例は「内定当時知るころがで
きず、また知ることが期待できない事実で、これを理由に内定を取消すこ
とが社会通念上相当と認められるものに限られる。」としています。
採用内定の時点で労働契約が成立したと見られる場合には、採用内定
取消しは労働契約の解除に相当し、解雇の場合と同様、合理的な理由
が無い場合には取消しが無効とされる場合があることに留意する必要が
あります。
4.やむなく新規学校卒業者に対し内定の取消しを行う場合には、あらかじ
め公共職業安定所及び学校長へ通知するものとされています。